African O.S.T.

映画音楽にも、昨今は様々なジャンルの楽曲が用いられるものです。ここでは、主にアフリカのミュージシャンが欧米圏の映画に楽曲を提供している例をいくつか挙げてみましょう。

ユッスー・ンドゥール Youssou N'dour

セネガルのトップスターであり、ピーター・ガブリエル坂本龍一等とも共演経験のある、日本でも有名なアーティストですね。彼の参加してるサントラから。

ジャッジ・ドレッドJudge Dredd ('95)  DVD

Judge Dredd
シルベスター・スタローン主演の近未来SFアクション。
この映画のサントラに、ユッスーはWorldbeatersなるユニットとの共演、という名義で"You come closer"を提供(ピーター・ガブリエルの項でも触れましたが)。
この曲はこのCDでしか聴けないレアトラック

ブルワース Bulworth ('98)  DVD

Bulworth
ウォーレン・ベイティ監督・主演のブラック政治コメディ(?)作。
この映画のサントラは、エンニオ・モリコーネ作の劇伴音楽を収録したものと、作中でフィーチャーされたヒップホップ系の曲を網羅したものと2種類あるようなのですが、そのヒップホップ系コンピレーションの中に、ユッスーはアメリカのラッパー、Canibusと共演という形で"How come"を提供。
この曲はシングルカットもされていて、そちらにはアルバム収録版の他にアカペラバージョンも収録されており、これもユッスーファンとしては聴きどころです(今となっては入手困難ですが)。

キリクと魔女 Kirikou et La Sorciere ('98)  DVD

Kirikou et La Sorciere
フランス製作、スタジオジブリが配給に協力したアニメ映画(題材そのものはアフリカの神話による)の主題歌を、ユッスーが担当。これはけっこう話題にもなったので、ご記憶の方も多いのでは?

ブラッド・ダイヤモンド Blood Diamond ('06) DVD

Blood diamond
シエラ・レオネの紛争ダイヤモンドの問題を取り上げた、レオナルド・ディカプリオ主演の作品。
サントラを担当しているのはジェームズ・ニュートン・ハワードなのですが、その楽曲にヴォーカルとしてユッスーが参加しています。
このサントラには、リフュジー・オールスターズ・オブ・シエラ・レオネの曲もフィーチャーされてますね。

サリフ・ケイタ Salif Keita

マリ出身の非常に個性的なシンガー。ユッスー・ンドゥールらと共に80年代後半のワールドミュージックブームの中核を担っていたと言っていいでしょう。

シルガ L'Enfant Lion ('93)  VHS

L'enfant Lion
リュック・ベッソン製作、パトリック・グランペレ監督によるアフリカを舞台にしたファンタジックな物語のサントラを、サリフ・ケイタと(ゴングSystem 7の)スティーブ・ヒレッジのダブル名義で制作。
全14曲中サリフが7曲、ヒレッジが6曲を提供、1曲のみ両名の共作(という名義になってますが、サリフの単独名義の曲にスティーブ・ヒレッジが参加しているものもあり、実質共作かも)。
サリフの曲も素朴でシンプル、アコースティックなものが多く、ヒレッジもアンビエントな空気感の曲で、一枚のアルバムに違和感なくまとまってます。

シャンドライの恋 Besieged ('98) DVD

Besieged
ベルナルド・ベルトルッチ監督による、人種・国境・立場を越えた切ないラブロマンス。
アフリカからローマへ亡命した主人公の女性が好んで聴いている音楽として、サリフ・ケイタやパパ・ウェンバアリ・ファルカ・トゥーレ等の曲が劇中に使用され、サントラにも収録されてます。ただし、このサントラのための新作ではなく、既発の曲が大半ですけどね。

アリ Ali (2001) DVD

Ali
ウィル・スミス主演、モハメド・アリの半生を描いた作品。
サントラ盤はPart 1Part 2 の2種類が出ているのですが、ソウル系アーティストの面々(R・ケリーアリシア・キーズアル・グリーンアレサ・フランクリン)が楽曲を提供する中、サリフ・ケイタもPart 1には"Tomorrow"、Part 2には"Papa", "Sanni Kegniba"と両盤に楽曲が採録されてます。いずれも新曲ではありませんが。

ジェフリー・オリヤマ Geoffrey Oryema

ウガンダ出身のシンガー、ジェフリー・オリヤマ。ピーター・ガブリエル主宰の REALWORLDレーベルからもアルバムを何枚もリリースしていました。

僕は、パリに恋をする Un Indien dans La Ville ('94) 原作本

Un indien dans la ville
このサントラについてはピーター・ガブリエルの項でも触れましたが、Manu Katche、Geoffrey Oryema、Tonton Davidの3者名義のオリジナル楽曲。
アフリカとラガとロックのミクスチュアを目指した、とライナーには書いてあります。

アユブ・オガダ Ayub Ogada

ケニア出身のシンガー、アユブ・オガダ。この人もREALWORLDレーベルと接点があります。

ナイロビの蜂 The Constant Gardener ('05)  DVD

The constant gardener
映画「ナイロビの蜂」サントラで、素朴ながら印象的な歌声を聴かせたシンガー、アユブ・オガダ。
彼もかつてREALWORLDレーベルよりアルバムEN MANA KUOYOをリリースしており、「ナイロビの蜂」に使用されていた哀切なナンバー"Kothbiro"はこちらにも収録されてます。

レミー・オンガラ & オルケストル・スーパー・マティミラ Remmy Ongala & Orchestre Super Matimila

タンザニアを拠点とする大人気バンド、レミー・オンガラ&オルケストル・スーパー・マティミラ。
彼らも、REALWORLDレーベルと接点あり。
REALWORLDは、欧米の映画界と優先契約でも結んでるんだろうか?

ナチュラル・ボーン・キラーズ Natural Born Killers (1994) DVD

natural born killers
これもまたピーター・ガブリエルの項で挙げたサントラ「ナチュラル・ボーン・キラーズ」には、このレミー・オンガラの曲もピックアップされてます。これまた既発の曲ですが。

また、最近はアフリカを題材にした作品も多数製作・公開されるようになりました。
ちょっと前の作品ですがブラックホーク・ダウンをはじめ、名もなきアフリカの地で」「ホテル・ルワンダ」「ルワンダの涙」「ラストキング・オブ・スコットランドサントラ には70年代アフロビートのレア曲が採録)ツォツィサントラ は南アフリカ・ヒップホップ・シーンのコンピレーションでもある)等々。
これらのサントラにも、様々な形で、多数のアフリカのアーティストの曲が用いられていますね。 まだまだ、探せば他にもたくさんあるのでしょうが、とりあえずはここまで……

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