Ry Cooder @ Movies

ライ・クーダーと言えば、アメリカを代表するスライドギターの名手であり、R&Bやブルースなどのルーツ・ミュージックについて深い造詣を持ち、そうした要素を自在に取り入れたロックンロールを自身のアルバムで作り上げています。
また、ライ・クーダーは映画音楽も多く手がけており、オリジナルアルバムとはまた違う、味のある楽曲を作っています。
そんな、ライ・クーダーの手がけた映画音楽を紹介していきます。

パフォーマンス/青春の罠 Performance (1970) DVD

Performance
ニコラス・ローグ監督、ミック・ジャガー主演の映画「パフォーマンス/青春の罠」。
この映画のサントラは 、ジャック・ニッチェランディ・ニューマンラスト・ポエッツなど錚々たる顔ぶれ。その中で、当時23才のライ・クーダーもスライドギターを聴かせます。

ロング・ライダーズ The Long Riders (1980) DVD

The Long Riders
ウォルター・ヒル監督による、南北戦争直後を舞台にした若者達の破天荒な西部劇。アメリカのルーツ・ミュージックに造詣の深いライ・クーダーならではのウェスタン・ミュージック。

The Border (1981) VHS

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ジャック・ニコルソン主演、トニー・リチャードソン監督による、テキサスを舞台にした国境警備隊員の物語。
テックスメックス・サウンドはライ・クーダーの独壇場でもあり、水を得た魚のように音を作り上げています。
このアルバムは、公開当時アナログ盤でリリースはされていたんですが、その後CD化の機会には恵まれず……(続きは後述)

ストリート・オブ・ファイヤー Streets of Fire (1984) DVD

Score Album
マイケル・パレダイアン・レイン主演、ウォルター・ヒル監督による青春アクション作。
この作品のサントラは、ファイヤー・インクやダン・ハートマン等のロック系の曲のオムニバス盤でもあるのですが、ライ・クーダーも“Hold That Snake”というこのサントラのための新曲(オリジナルアルバムには未収録)を提供してます。

パリ、テキサス Paris, Texas (1984) DVD

See you later
ベルリン・天使の詩 」や 「ミリオンダラー・ホテル 」等のヴィム・ヴェンダース監督による、アメリカの乾いた風景の中で離ればなれになった夫婦の物語。この作品は、1984年度のカンヌ映画祭パルムドールを授賞しています。
ライ・クーダーは、ほとんどスライドギター一本きりの音色で、アメリカの景色に潜む荒涼感、寂寥感をあぶり出しています。
まぎれもなく名盤

Alamo Bay (1985)

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エド・ハリスエイミー・マディガンを主演に、「死刑台のエレベーター」や「さよなら子供たち」のルイ・マル監督がアメリカで製作した作品。
テキサスの漁港を舞台に、地元の漁民とヴェトナム難民の対立を描く社会派の物語。
この作品もテックスメックス的な音をふんだんに取り入れた、ライ・クーダーらしい音。一部に、松井一の尺八の音を用いていたりもします。
このアルバムも、公開当時アナログ盤でリリースはされていたんですが、その後CD化の機会に恵まれず……(続きは後述)

クロスロード Crossroads (1986) DVD

Crossroads
ウォルター・ヒル監督、主演は「ベスト・キッド」等のラルフ・マッチオ。ブルースギターを愛する青年と、往年の盲目ブルースマンが、伝説的ブルースマン、ロバート・ジョンソンの足跡をたどる旅を描いた作品。
サウスデルタ・ブルースを全編に響かせる、ライ・クーダーの面目躍如のサントラ。

ブルー・シティ 非情の街 Blue City (1986) VHS

Blue City
ロス・マクドナルドの原作を、ウォルター・ヒル監督が映画化。主演はジャド・ネルソンアリー・シーディ。フロリダを舞台に、父親殺しの謎を追う青年のサスペンスアクション作。
サントラは、軽快なサウス・ロックからサスペンスフルな曲、哀愁漂うブルージーな曲まで、各場面を盛り上げるべく巧みに作り込まれた映画音楽の王道、といった趣き。

ジョニー・ハンサム Johnny Handsome (1989)

Johnny Handsome
ウォルター・ヒル監督、ミッキー・ローク主演のミステリアス・ロマン。
都会の夜に潜む悪と闇、そして哀愁をライ・クーダーのギターが浮かび上がらせます。

トレスパス Trespass (1992) VHS

Trespass
ウォルター・ヒル監督、ビル・パクストンアイス・Tアイス・キューブ主演によるサスペンス・アクション。
この映画のサントラは、映画に使われたラップ/ヒップホップ系の曲のコンピレーション盤 と、ライ・クーダーの手になるスコア盤の2種類がリリースされてます。
スコア盤では、特にヒップホップスタイルにすり寄ろうとはせず、スライドギター・サウンドで緊迫感のある音を作り上げています。
ニューエイジ系のトランペッターとして知られるジョン・ハッセルも演奏に参加しています。

ジェロニモ Geronimo: An American Legend (1993) DVD

Geronimo
新たな視点でアパッチ族の戦士ジェロニモを描いた、ウォルター・ヒル監督作。
主演はウェス・ストゥーディジェイソン・パトリックジーン・ハックマン
このサントラでは、南北戦争当時の軍楽隊や舞踏会の音楽等のアメリカのルーツ・ミュージックを再現し、また、大地と共に生きるネイティブ・アメリカンの空気を表現するために、中央アジアの喉唄(ホーミー)のグループ、フーン・フール・トゥを起用するという意表を突いたアプローチも行っています。

Music by Ry Cooder (1995)

Music by Ry Cooder
このアルバムは、ここまで紹介してきた、ライ・クーダーが手がけた映画音楽を集めたベスト盤として編集されたもの。
ただし、映画音楽を手がけたものの、サントラ盤としてリリースはされなかったサザン・コンフォート 」(1981) の楽曲も収録されていたりするので、マニアは要注目。

ラストマン・スタンディング Last Man Standing (1996) DVD

Last Man Standing
黒澤明用心棒を、ウォルター・ヒル監督が禁酒法時代の西部の街に舞台を置き換え、忠実にリメイク。
主演はブルース・ウィリスクリストファー・ウォーケン
監督曰く、パルプ小説でありフィルムノワールでありサムライ映画でもあり西部劇でもあり、アメリカのタフガイものへの賛歌だという雰囲気を忠実に汲みとり、味わい深く渋いクールな音楽を作っています。

エンド・オブ・バイオレンス The End of Violence (1997) DVD

The End of Violence
ヴィム・ヴェンダース監督による、暴力を封じるための"巨大な暴力装置"にまつわる陰謀を描いたサスペンス作。主演はビル・プルマンガブリエル・バーン
この映画のサントラは、劇中で使用されたU2メデスキ, マーティン&ウッドロス・ロボス等の楽曲を収録したコンピレーション盤 と、ライ・クーダーによる劇伴曲を収録したスコア盤があります。
映画の近未来的なムードを反映してか、ミックスにハウイー・Bを起用し、ジョン・ハッセルのエフェクトを多用したトランペットの音色や、多様なサンプリング等とも相まって異色なサウンド。

パーフェクト・カップル Primary Colors (1998) DVD

Primary Colors
卒業」や「ワーキング・ガール 」のマイク・ニコルズ監督が、大統領選の内幕を赤裸々に描いた匿名作家の小説「プライマリー・カラーズ -小説 アメリカ大統領選- 」を映画化した政治コメディ。主演はジョン・トラボルタエマ・トンプソン
このサントラは、ライ・クーダーの他、ヴァン・ダイク・パークスペレス・プラードまでフィーチャーされ、コテコテなほどの「アメリカン・スタイル」を(たぶん狙ってるのでしょうが)作り上げてます。

ボーダー/アラモ・ベイ The Border / Alamo Bay (2006)

The Border/Alamo Bay
上述したとおり、未CD化のままだった「ボーダー」と「アラモ・ベイ」の2作のサントラが、1枚のCDにカップリングされてオーストラリアのレーベルより2006年にようやく発売。
快挙!

マイ・ブルーベリー・ナイツ My Blueberry Nights (2007) DVD

My Blueberry Nights
恋する惑星 」や「2046 」の香港の俊英監督ウォン・カーウァイがアメリカを舞台に、ジャズシンガーであるノラ・ジョーンズを主演に描く、ロマンティックなロードムービー
ノラ・ジョーンズ自身のオリジナル新曲の他、オーティス・レディングメイヴィス・ステイプルズカサンドラ・ウィルソン等の豪華メンバーの曲が並んでます。
その中で、ライ・クーダーも味のあるスライドギターで3曲参加しています。
また、近年のライ・クーダーの映像との関わりで忘れてはならないのは、映画「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」です。ただし、この作品は、同じタイトルながらCDアルバム「Buena Vista〜」と映画DVDの「Buena Vista〜」はその成り立ちも内容も異なるので、ちょっと整理してみましょう。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ Buena Vista Social Club [CD] (1997)

Buena Vista Social Club
ライ・クーダーのプロデュースによる、キューバでのレコーディングの際に、現地での老ミュージシャンたちとのセッションがきっかけとなり(当初はアフリカのミュージシャンとキューバのミュージシャンとのセッションの予定だったのが、アフリカのミュージシャンがビザの都合で足止めをくってキューバまで来られないことになり、キューバ勢だけで録音を始めよう、ということになったのがそもそもの発端だったらしい)、作られたアルバムが今作。全曲がキューバの伝統あるスタジオ、EGREMで録音されています。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ Buena Vista Social Club [DVD] (1999)

Buena Vista Social Club
上述したCDアルバムがリリースされると、ラテン音楽ファンのみならず、幅広く高い評価を受けて全世界的な大ヒットとなります。
そうしたリスナーの一人に、ライ・クーダーとは永年の付き合いである映画監督、ヴィム・ヴェンダースがいました。
ヴェンダースはライ・クーダーに、「今度、君が(キューバに)行くときは知らせてほしい。僕も一緒に行くから」と伝え、その言葉どおり、"Buena Vista Social Club"の第2弾として企画された、ベテランボーカリストであるイブライム・フェレールのソロアルバム「Buena Vista Social Club presents Ibrahim Ferrer 」のレコーディングに同行。
その時に撮影された、レコーディング風景や各ミュージシャンへのインタビューなどが映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」として結実します。
この映画の終盤で見ることのできる、カーネギーホールでのライブ演奏の模様も、「Buena Vista Social Club At Carnegie Hall 」(2008)で2枚組のライブCDとして存分に聴くことができます。
その後、"Buena Vista Social Club presents"という名義では、「Buena Vista Social Club presentsOmara Portuondo 」が2000年にリリース。
そして、Buena Vista Social Club の名前は冠しないながらも、演奏に参加したミュージシャンたちのソロアルバムが、様々なかたちで作られ、リリースされました。

イブライム・フェレール:「すばらしき兄弟」 「私の夢」etc...
コンパイ・セグンド:「Calle Salud 」 「Yo Vengo Aqui」「Las Flores De La Vida」etc...
オマーラ・ポルトゥオンドマヒア・ネグラ〜黒い魔法」「愛の花」etc...
ルベーン・ゴンザレス:「Introducing...」「Chanchullo」etc...
エリアデス・オチョア:「Sublime Illusion」「Estoy Como Nunca」 etc...
ピオ・レイバ:「La Salud De Pio Leiva」 etc...
オルランド“カチャイート”ロペス:「Orlando "Cachaito" Lopez」  等々……

最初のレコーディングが行われてから、もう10年以上が経過してるわけで、すでに物故されているミュージシャンも少なくありません。
時の流れは残酷なものですが、遺された音を末永く楽しんでいきたいものです。

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